お酒など滅多に飲まぬ方

ううん、嘘だわ。「不倫ねぇ。けど、みんなしてっから、多分」そう?私、信じられません。「貴女はまだ、世間に疎いから」

まぁ、世間知らずと?そりゃ、箱入り娘として育った身。だが、花嫁修業を終え、彼に嫁ぎ、はや半年。

色々と学んだ事は数多く、どれ程辛く険しきものか、それぐらい把握済み。「半年で愛が欠けてるわ」お恥ずかしき事。

でも私、精一杯御奉公、これ以上どうせよと。「あー。別に貴方が悪りぃ等、そーゆー事じゃ。でも本当なん?勘違いの可能性は?」ありませぬ。

「断言したね」ええ。だって我が主人、自分から自白すんだ。

「自白?」普段、お酒など滅多に飲まぬ方。でも先日、泥酔帰宅され、泣きながら私へ打ち明けた。嘘をつく事が、辛過ぎるそう。

「ふむ。で?」どう答えればよいか、答えに窮し、とりあえず介抱、寝かせつけ。「翌日聞いた?」すっかり記憶から、パア状態。「ふむ、そりゃ難儀な話」